ピレリはタイヤでF1ドライバーを危険に晒すのか!!
昨日開催されたF1イギリスGPは悪評高いピレリタイヤ4が台のマシンでバーストし、2度のセーフティーカーが投入される波乱の展開となりました。そしてそれと同じくらい衝撃的だったのが、レッドブルのベッテルがギアボックストラブルでリタイア、ノーポイントに終わるという波乱の結果です。優勝は”タイヤゲート”事件以降好調なメルセデスのロズベルグ。2位は今シーズンでF1引退をイギリスGP前に発表したレッドブルのウェーバー。3位はフェラーリのアロンソという結果になりました。イギリスと言えばコロコロ変わる天候もレースを彩る一つですが、今年は素晴らしい天気で最初から最後まで美しい夏空でのレースとなりましたが、サーキットの上は波乱の展開で間違いなく今年一番最悪なレースだと思います。
そんな最悪のレースながらも、活躍する人は凄い活躍を見せ多くの観衆を沸かせましたね。特にウェーバーはスタートで出遅れ後方に沈んだものの、最後は前を走るロズベルグを追い立てる走りはまさに真っ赤な牡牛の様な猛々しさが在りましたね。もう少しレースが長かったら優勝はウェーバーだったと言える程素晴らしい走りを見せました。また、フェラーリのアロンソは、タイヤのバーストを恐れるチームが縁石を使うなという指示が飛び交う中、一切そんな妥協は見せずに猛然と前を追いかける精神力には感服です。チームメートのマッサがタイヤのバーストの餌食になっているだけに慎重にならざるをえない状況の中、あえて攻めるという決断が出来るからこそ、最強のドライバーという称号に相応しい走りでした。ポールポジションからスタートしたマクラーレンのハミルトンもタイヤのバーストで最後方に落ちたものの、気合の走りで4位までポジションを復活させる迫力ある走りを見せて、多くの観客を沸かせました。タイヤのバーストが無ければマシンの性能とドライバーの腕の見せ所がたくさんある良いレースとなったであろうだけに、ピレリには真剣にタイヤの改善に全力を注いでもらいたいです。
そんな華々しい見せ場を作ったドライバーもいれば、残念ながら良いところが全くなかったのがイギリスを母国とするマクラーレンです。ペレスにバーストが襲ったといえでも、バトンもズルズルと順位を落としていくという悲しい結末に。マクラーレンは早くも今シーズンは諦め、2014年に向けた開発に注力するという趣旨のコメントも出ているので、こちらも気になるところです。2015年にはマクラーレンホンダが復活しますが、その時に最後尾争いをするようなことになるのだけは勘弁してほしいです。
イギリスは多くのF1チームのファクトリーがあるため、事実上のホームグランプリというチームも多くあり、シルバーストーンで新しいパーツを導入するなど各チームかなりの力を注いできます。そんな自動車レースの母国イギリスGPに相応しい良いレースになるのかと思いきや、今回のイギリスGPの主役は完全にピレリタイヤでした・・・。マクラーレンのハミルトンにフェラーリのマッサ、マクラーレンのペレスにトロロッソのベルニュが突然のバーストに襲われ大きく順位を落とすことになりました。幸いにも今回はけが人は出ませんでしたが、マシンが接近戦を繰り広げている時にタイヤがバーストすると後ろを走っていたドライバーも危険に晒されます。実際フェラーリのアロンソは、2台のバーストの瞬間をすぐ後ろで走っていたこともあり、宙に舞い散るタイヤ片を瞬時に避ける反射神経と腕があるからこそ貰い事故にならなかったのかと思う程危険性が高いシーンでした。オンボードカメラの映像は恐怖です。マッサもコメントしているように”安全かどうかも分からないタイヤ”で命を懸けてレースを行うのは間違っていますよね。FIAも今回のバーストを問題視しており、各チームが集まる席にピレリを召集し問題解決に向けたアクションを促しています。
今回のイギリスGPでは、レース前にレッドブルのウェーバーが今シーズン限りの引退を発表しました。これで最強チームの2014年シート獲得を目指した椅子取りゲームが始まりました。ウェーバー自身は後任はロータスのライコネンと言っているように、現在の最有力候補は間違いなくライコネンです。何故かベッテルとも仲が良いというのも人選の理由でしょうか。ロータスはライコネン残留に向けて必死で説得にかかると思いますが、果たしてどうなることやら。フェラーリのマッサの契約もこれから話題になることでしょうし、既に来年のシート争いも見逃せませんね。
次戦はドイツGPです。今回のレースの様なタイヤのバースト事件が再現されないよう祈るばかりです。実際FIAのチャーリー・ホワイティング(よくレース中のアクシデントでドライバーが”チャーリーに聞いてくれ”と言っているチャーリーです。スターターでもありますね。)も、タイヤのバーストを見て”ドライバーの安全の為に赤旗を出す寸前だった”ことを認めています。こんなレースを台無しにするトラブルが解決するよう、F1のファンとして切に願うばかりです。