受講したセミナーの感想です。
非接触性ACL(前十字靭帯)損傷に関する現在の理論、その理論を踏まえてどのようにトレーニングしていくかが講義されました。他の選手との接触があるようなスポーツだけでなく、テニスなどの非接触性スポーツでも前十字靭帯損傷は多発しております。どのような動作の際に前十字靭帯損傷が起こるかというと、急激な減速動作中が最も多いです。例えばテニスでの切り返し、バスケットボールやバレーボールでの着地動作の際に多発し、膝の屈折角度が少ないケースが多いです。
ACL損傷のメカニズムについては、完全に解明されているわけではなく、大腿四頭筋の過度な収縮力がACLを損傷させるという説、複数の負荷がコンビネーションで膝にかかりACLが損傷するという説、膝関節圧縮力により生じる脛骨前方剪断力がACLを損傷させるという説があります。
損傷のメカニズムが完全に解明されていないとはいえ、トレーニングしていくべき方向性には変わりは無く、足関節底屈筋と股関節伸筋を強化することが重要です。例えば、コーンを幾つか並べ、その間を連続で片足で跳んでいくようなトレーニングが紹介されていて、しっかりと股関節を曲げ腰を落とした状態で、接地時間を十分に確保しながら正面、後ろ向き、横向き、斜め前、後ろといった様々な方向にトレーニングするのが効果的です。
ただ、このようなトレーニングだけを行うと、瞬発的な動きに対する神経が弱くなってしまうので、接地時間を十分に取るようなトレーニングだけでなく、プライオメトリクスのような、瞬発的なトレーニングも並行して行うことがパフォーマンスと怪我の予防を両立するためには必要です。
また、足首の捻挫のリハビリ、予防としてよく行われてているタオルギャザーのようなトレーニングで下腿の筋肉を鍛えることが全身のバランスの向上、膝の安定性の確保にも繋がります。同様に、腹筋群を始めとしたインナーマッスルを鍛えるようなコアトレーニングも、上体を安定させ膝への負担を減らすという意味でも非常に効果的です。
また、トレーニングだけでは無く、普段の競技の最中にも、十分に膝を屈曲させ重心を落とすことがACL損傷の予防になりますので、トレーニング及び意識の改善が必要だと思います。
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